fc2ブログ
さて、昨日の続き。
今度は同じレポートから、
アメリカ側の様子です。



林の間の雪に覆われた細い一本道の先に、
「通行止め」の看板がつけられた、
鉄パイプを繋げただけのようなゲートが
太い鎖で括られている国境
があります。



その国境に程近い小さな町の住民は、
その雪道を大きな荷物を手に北へ向かう
個人、あるいは2~3人の小さなグループを

「この頃よく見かけるねぇ」

と言います。


インタビューに応えたある青年は、

「地元の警察が言うんすよ。
『どんどん北へ行け、あっち(国境)へ行けと促すように』ってね」


と話しながら、道路の先の国境に向かって
交通整理をするように腕を振って見せました。


アメリカの警察官の意図するところが
「アメリカにいて欲しくないから?」
なのか
「カナダへ行った方が彼ら自身のために良いから?」
なのか、

どんな思惑があって、
近隣住民に「北上を促せ」と言うのか、
そこには触れられませんでした。




これらのインタビューに出たアメリカ側国境近隣の人々は、

車も人も地元民以外通らないような道を、
これまでにない頻度で、
それも徒歩で通り過ぎる難民たちを見て、
純粋に単純に「普通じゃないね」と驚いているだけで、

アメリカを出てカナダへ行こうとするのは
自分とは何ら関係のない人々ですから、
彼らが何処の人で何教の信者かなどには、
まるで興味のない様子
でした。




アメリカ、ミネソタ州北部のある町から、
カナダへ向かおうとしているイラン人家族がいました。

この一家はすでに難民と認定され、
米国滞在を許されて数ヶ月
が経っていましたが、
かの大統領令が出たことで将来に不安を感じ、
一家でカナダへ渡ることにしました。

不法入国の手助けをするという業者に
1人300ドル(一家5人で1500ドル)支払い

教えられたミネソタ州北部の町まで行くと、
業者のトラックが待っていました。

その町を出発したのはまだ陽の高い時間。
すっかり陽が落ちた頃、
古臭い木製の電柱に点る灯りがポツンポツンと見える、
人気のない通りの脇でトラックを降ろされました。


大きな荷物を両手に持つお父さん、
片手にボストンバッグ、もう一方で幼児の手を握るお母さん、
膨らんだレジ袋を手に持ち、大きなリュックサックを背負った
小学中低学年ほどの男の子と女の子
の、

灯りの点る道ではなく、その脇の藪の中へ姿を消していった様子が、
レポートの最後の映像でした。


冬の夜です。
どこもかしこも雪で覆われているか、凍っています。
土地勘のまるでない場所です。
道路でなく藪の中を歩いていくのです。


1500ドルもふんだくっておいて、
こんなところで降ろすのか!?
せめてどこかの国境ゲートが見えそうな辺りまで、
乗せていってやれなかったのか!?



心に大きなわだかまりが残りました。



この一家が無事にカナダへ辿り着き、
不法入国者として留置され、
難民手続きを始めていますように・・・

と思います。




2日間、長い書込みを読んでくださって、
ありがとうございました。





スポンサーサイト



2017.02.18 Sat l 日本・世界の出来事 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

No title
おはようございます。
北へ行け、というのは地元警察が『ここで面倒は起こさないでくれ』と思っているからかなと思いますし、北部の(元)工業地帯では、移民から仕事を奪われたと本気で思ってる人もいるようで・・・。アメ車が売れないのは、買う人のニーズを無視したような製品を送り出すからで、移民のせいではないのにね。
ケガなどなく無事にカナダでの手続きができるよう祈るばかりです。
2017.02.19 Sun l rara. URL l 編集
Re: No title
raraさん、こんにちは!

> 北へ行け、というのは地元警察が『ここで面倒は起こさないでくれ』と思っているからかなと思います

というraraさんの言葉に、なぜここの報道がその真意を明らかにしなかったか、
ちょっと判ったような・・・。

つまり、「アメリカの地元警察はここで面倒を起こされたくないから北上を促す」
という報道の仕方をしたら、世間に、アメリカは難民を追い出す非情な国(悪)で
カナダは黙って受け入れる人道的な国(善)という構図を作ってしまうから・・・
ではないでしょうか。

カナダとアメリカの間に、それぞれに善と悪のレッテルを貼ってしまうようなことは、
友好関係を保たねばならないカナダとしては、政治的に避けたいですから。

それになんといっても、カナダだって難民を受け入れてはいますが、偏見もヘイト・
クライムもありますから、「善」のレッテルをメディアが貼ってしまったら、それこそ
誰かさんの好きなフェイク・ニュースですよ(笑)。

地元の(カナダ人の)職を奪うという理由で、数年前のでくのぼー首相は、
一時就業ビザの発行を停めたことがあります。
確か似たような流れで、移民受け入れや滞在期間延長などのハードルも
高くしたと憶えています。
カナダだって残念ながら、カナダ・ファーストですよ(苦笑)。

> 北部の(元)工業地帯では、移民から仕事を奪われたと本気で思ってる人もいるようで・・・。アメ車が売れないのは、買う人のニーズを無視したような製品を送り出すからで、移民のせいではないのにね。

知り合いのメカニックがいつも言います。
「アメ車は日本車に比べて安いし、パフォーマンスも悪くはない。
だけど、こちょこちょと不具合が出る頻度が高い。
安く買っても修理代にお金が嵩むんだよ。だから僕が儲かるんだけどね(笑)」
なんだそうです。
だから、同じ15000ドル出すのなら、日本車を買ったほうが実質安上がりで、
メカニックの彼は「儲からないから日本車は嫌いよ」って(笑)。

市場が脅かされると思う気持ちは解りますけどね。
2017.02.19 Sun l りんごかあさん. URL l 編集

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://edibleringo.blog.fc2.com/tb.php/539-c5b9fbd8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)